『獅林』2012年11月号  主宰・的場秀恭

総合誌の秀句に学ぶ  33   〈俳句〉9月号より
   筆者   高原風太

万緑や火の坩堝から汲むガラス
「クローズアップ 岩淵喜代子句集『白雁』から、新作12句「半夏生」の内。
上五「万緑や」で切れる二物衝撃の句と思われる。エジブトでは紀元前24~22世紀頃から作られているというガラス。高温の坩堝の中で様々な無機原料が真赤に融けたガラス。一方で季語である「万緑」は燃え立つ緑、有機の坩堝である。真っ赤と深緑、無機と有機、対照的な二つの坩堝の響き合いが見事に決まった感がする。

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