有澤榠樝句集『平仲』 2012年7月 角川書店

うぐいすやかすかに乾く仏の間
霧吸うて来し唇を汝に与ふ
絨毯の一角獣を蹂躙す
大寒や松の幹より砂こぼれ
冬深み赤子の耳を咬んでみる
向うから自転車が来る天の川
まんじゆさげ狐にきつね逢ひにゆく

一句目と四句目の伝統的手法。二句目、三句目の直截的な情念吐露。七句目の幻想的世界と振幅のある作家である。それらの手法の融合が五句目の「冬深み赤子の耳を咬んでみる」に到ったようにおもえる。

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