『響焔』2012年9月号  主宰・山崎 聰

現代俳句の窓  筆者 石倉夏生

鐘楼の匂ひはいつも沈丁花  「俳壇」6月号より
岩淵喜代子

断定に説得力がある。何回も訪ねたことのある鐘楼で、いつも早春の沈丁花が咲いていたのであろうが、作者はそういは言っていない。香気を放つ主体は鐘楼なのである。そうなると季節感は借景であり、この鐘楼は季節を問わず宗教的な芳香を漂わせているとも読めう。
名刹の鐘撞き堂の風格そのものが放つ香氣と、近くから流れてくる沈丁の香りは一体であり、荘厳な気配を示す。

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