甘藍』2012年9月号 主宰・いのうえかつこ

恵贈句集抄   筆者 北川かをり

『白雁』 岩淵喜代子
 昭和11年、東京生れ、埼玉県在住。
 「鹿火屋」原裕に師事。後に川﨑展宏主宰の「貂」の創刊に参加。同人誌「ににん」創刊代表。帯文に清水哲男氏は「等身大の人生から、ユーモアの歩幅とペーソスの歩速で抜け出してはまた、地上の船に還ってくる」と書く。
句集作りは、自分の抜け出す手段、「憧れ」を追う旅とする第五句集。

万の鳥帰り一羽の白雁も
幻をかたちにすれば白魚に
花ミモザ地上の船は錆こぼす
今生の蛍は声を持たざりし
登山靴命二つのごと置かれ
鳥は鳥同志で群るる白夜かな
月光の届かぬ部屋に寝まるなり
葉牡丹として大阪を記憶せり
狼の闇の見えくる書庫の冷え

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