俳人協会図書室で

 「お怪我は治りましたか」と聞かれてようやくUさんだと気がついた。
 怪我のことを知っているというのは、今年出会っているということだ。以前のブログに怪我とその手術については書いておいたが、あれから半年経っている。大方の人はもう完治したと思っているだろう。だが、私はひそかに治らないのではないかと思ったりして、医師が手術をしたがらなかったのは、それなりの理由があるのかもしれないと、不安を抱えていた。治らないだけではなく、もっとひどくなって小指切断などという場まで想像した。

 何しろ、怪我は正月早々で、傷が治ってから指の腱が切れていたことに気がついたのである。そうして手術が一月の下旬。そのときから50日間、指の中心を金属の棒が貫いていた。3月の中旬に金属の棒を抜いたのだが、それから子指全体がちりちり痛むし、赤く浮腫んだ指は腐ってしまうのではないかとさえ思えるほどいつも腫れていた。「黴菌が入ってしまうこともあるし・・・」と医師は手術の前に言っていた。

 体全体からすれば子指なんて些細な存在である。しかし、子指にしてみれば、身体の内臓全部を手術するくらいの大手術だったのだ。腱というものへの知識もないが、「切れた腱は日を経て萎縮してしまっているし、それを引っ張ってきて繋げても、また切れてしまうことがあるから・・」と、あのときの医師はとても手術に消極的だった。成功率の低い手術はやりたくなかったのだろうか。 そのわりには、一時間半の手術中の二人の医師の会話は、おままごとでもしているように穏やかだった。

 「治りました」と、Uさんに自信を持って言えたのは、あとは傷口のあたりの腫れがなくなれば完治したと言えるからだ。指の屈伸も自在に出来て、言わなければ傷口もわからない。そう言えば、「怪我をしてから日が経っているので切り口も大きくなるので・・」とも医師は言った。そういうことを思いかえしみると大成功の手術だったようだ。ヨカッタ。

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