高岡すみ子第四句集『ひよんの笛』  2012年7月  本阿弥書店

1937年生れの「さいかち」主宰。平成17年から24年までの句を収録してある。

風通しよき山門に蟻の列
巾着にお手玉三つ冬に入る
落葉積む太郎ゐさうな診療所
亀が木に登つてゐたる春の夢
曼珠沙華ちち在れば髯あたりたる
枯滝の石が肝心利休の忌
金網にあそびざかりの芥子坊主
おじぎ草小指がふれただけなのに
初明り一千号へ深呼吸
春の鳶はひはひの子がいちもくさん
みちのくの梅雨の風鈴鳴りどほし
りんご煮る十分間の火のかげん
初夢や凭れてゐたる大きな背
晩年は自然に添うて初さくら

タイトルの『ひよんの笛』は(七十路のおんなたのもしひよんの笛)から得ている。この一句に作者の向日性が伺われる。そのため全体に流れる抒情性も輪郭を得た表現で俳味に繋がる。

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

HTML convert time: 0.256 sec. Powered by WordPress ME