『雉』 2012年7月号 主宰・田島和生

現代俳句月評    筆者 神田美穂子

夕凪や悪魔呼ぶには闇淡し      岩淵喜代子
                (「俳壇」6月号「葦舟」より)

 この句を読んで「逢魔が時」という言葉がすぐに思い出された。
 夕凪とは夏の夕方、海風から陸風に変る時、風が止む状態をいう。かって香川県に住んだことがあるが、瀬戸内海の夕凪がおいたりと止み蒸し暑く、汗を流しつつ夕飯の支度をしたものだった。
 掲句、そんな風もなく暑苦しい時間帯、空は少しずつ暮れてくるが、悪魔を呼ぶほどにはまだ闇が迫っていないと。「逢魔が時」と重ね合わせて考えてみるつなるほどと納得させられた句である。

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