金原まさ子句集『遊戯の家』 2010年 金雀枝舍

「草苑」創刊からの参加、という略歴でなるほどと宜うものがある。象徴性を生かした、何処へ連れれていくのか分からない面白さがある。自らが(99歳の不良少女の第3句集)と添えているように、1911年生れ。その年齢を知らなければ、若い方の作品集だと思ってしまう。どこを開いても魅力的である。

  祖父失踪そらまめが茹であがる
  丸善を椿が出たり入つたり
  首に巻き忘れてしまう藤蔓は
  空蝉はまるごと蜜に漬けるべし
  昼顔のやうに枕へたどりつく
  さびしくて畳にじかに烏瓜

鳴門奈々氏が句集題を命名。今井聖氏が帯文を添えている。

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