「草苑」創刊からの参加、という略歴でなるほどと宜うものがある。象徴性を生かした、何処へ連れれていくのか分からない面白さがある。自らが(99歳の不良少女の第3句集)と添えているように、1911年生れ。その年齢を知らなければ、若い方の作品集だと思ってしまう。どこを開いても魅力的である。
祖父失踪そらまめが茹であがる
丸善を椿が出たり入つたり
首に巻き忘れてしまう藤蔓は
空蝉はまるごと蜜に漬けるべし
昼顔のやうに枕へたどりつく
さびしくて畳にじかに烏瓜
鳴門奈々氏が句集題を命名。今井聖氏が帯文を添えている。