日下野仁美第二句集『風の扉』  2011年8月 文学の森

 雲雀鳴く揚がりきつたる雲の中
 花芒揺るるものより枯れにけり
 浮寝鳥さびしき時は向き変へて
 はじめなく終りもなくて蜷の道
 ボロ市の人出を映す古鏡
 千畳の一畳に立つ夏岬
 風の扉を押して花野の人となる

 対象への想い、それが雲雀の揚がった雲の中へ、そうして揺れるものから枯れてゆくという断定になり、向きをかえる浮寝鳥へのまなざしへ及ぶ。そうして、その想いが自身を風景の中の点景となるのだろう。

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