こういう本が出るたびに虚子という先人の大きさを知ることになる。この一書は相子智恵・生駒大祐・上田信次・神野紗希・関悦史・高柳克弘の各氏が分担しながら、虚子の俳句の365日を鑑賞している。ですます調に統一したことで、つぎからつぎへと読み移っていくときの躓きもない。
虚子の俳句の多さは群を抜いている。そうしていつの間にかかなりな数が蓄積されている筈だったが、「こんな句もあった」と認識する面白さもあって宝探しのようである。
美しき蜘蛛居る薔薇を剪りにけり
バスの棚の夏帽のよく落ちること
競べ馬一騎遊びてはじまらず