2016年9月 のアーカイブ

貼り交ぜる切手とりどり巣立鳥   岩淵喜代子

2016年9月1日 木曜日

『沖』9月号 主宰・能村研三

現代秀句鑑賞   筆者・東 良子

俳壇 六月号巻頭作品「鳥の恋」より
タイトルの「鳥の恋」10句には、上掲句の他に、極く身近な小鳥が詠われている。(雀らに芝生がいちばん暖かさう〉(子雀に隠れどころもなき芝生〉がある。

雀といえば、最近は数が減ったと言われる。町には田畑が姿を消し、日舎の田圃でも、機械化されて稲架も落穂拾いの光景も見かけなくなってしまった(そんな中で見かける雀は、今や懐かしく嬉しくなる存在である。「貼り交ぜる切手とりどり」とは、手許にある、昔、沢山蒐集した切手のことであろう。

とりどりの美しい切手を沢山貼って送る、ゆうパック等であろうか。「巣立鳥」があたかも、沢山の切手を貼つて貰つて、今まさに大空に向かって、飛び立つ処。そんなメルヘンチツクな、楽 しい景が思われた。作者は本年、第29回俳人協会評論賞を受賞された。

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