山崎十生句集『悠悠自適入門』 2012年 角川書店(21世紀俳句叢書)

一瞬句集であることを忘れる句集名であるが、「悠悠自適の本来の意味は、俗事にわずらわされず、ゆったりと自分に合うように静かに暮らすことである」と自ら後書きにしている。また、巻末に酒井佐忠氏の山崎十生論の展開には、安易な諧謔を目指しているのではない、山崎氏の志向に迫っている。

まだ揺れている筍の願いかな
大海月ゆらりはるかに富士の山
万緑は産褥熱に等しかり
血を全部取り替えている雁わたし
着席をしてから気付くゐのこづち
靡かむと息をひそめてゐし芒
空蝉は既に雲水超えている
後鳥羽院なのかも知れぬ雁渡し
起き上がり小法師の果ては虹である

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