小檜山繁子第七句集『坐臥流転』 2011年 角川書店

 昨年度の現代俳句協会賞受賞者である著者は、加藤楸邨の沙漠の旅に幾度となく同行している。その薫陶ぶりは女楸邨の名を被せているひともいる。

見回せば柱総立ち秋の暮
冬晴れの身の芯を川流れをり
旅の果新じゃがいもを煮ころがし
原爆忌猫の溜り場水置かれ
白鳥の闇ひた寄せてねむるなり
山独活や空のかけらが沢の中
肺の写真切り売りしたる枯野かな

最近作の単純化がかえって奥行きを感じさせるようになった。

林檎一つ大きな夜に入りけり
木枯の底をこりこり小擂鉢
葉桜のうおーんうおーんと幹の芯

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