八田木枯第六句集『鏡騒』 2010年9月  ふらんす堂

寒靄や老は泳いでゐるごとし
日のくれの冬木は肘を張りにけり
蝶を飼ひ人差指はつかはずに
永き日をひとりでをれば塵もなき
鶴よりもましろきものに処方箋
國に恩賣りしことあり蠅叩く
繪草紙を買ひにやらせる暑気中り

1925年生れ。現代俳句協会賞を受賞している作者は表現を自在にあやつる。いや、そう見えるほど苦渋のあとを残さない完成度を持っている。どれを、と抜き書きするならどれも端から書きぬきたい自在さを得た作品である。

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