上田日差子第三句集『和音』 2010年9月 角川書店

ぼろ市の夕闇吊られゐるごとし
七草の数をひもとくやうに解き
母と子の帽子を重ぬ望の夜
空蝉を洞のひとつに数へたり
かがみゐて芙美子旧居の蟻急かす
噴井鳴る真つ暗闇を力にし
桔梗の白の折目にかくれなし
水撒くは光撒くこと種物屋

上田五千石を父に持つ「ランブル」主宰。手固い写生詠を底力に着実な句作りは、その人柄の現れでもある。文は人なりというが、俳句もまた人なりだとしみじみ感じる句集だった。

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

HTML convert time: 0.223 sec. Powered by WordPress ME