春の地震5(東北関東大震災)

今日はじめて午後6時20分にわが地域に計画停電が実行された。こんなときは月光の明るさが吃驚するほど存在感を持つ。電燈が消えた途端に窓から射しこむ月光がフェンスの影を部屋に倒してファンタスティックな模様を作っていた。

寝室の雨戸を閉めようとしていたときに、ベランダの上が妙に白っぽい。何が置かれているのかと顔を寄せてみるとなにもない。ベランダの上に塗られたリノリユームが月光を捉えているのだ。

階段を降りようとしながら電燈のスイッチに指先が行くのは、もうそういう習い性になっているのだ。点灯しないことを改めて認識しながら、そろそろと全く見えない階段を一歩ずつ下りた。それでも勝手知った我が家の階段の感覚は心得ているから慌てない。玄関の施錠を確かめるために戸口に立ったとき、ちょっと外を覗いた。やっぱり暗い。みんなどこも停電なのだ。

おやと思ったのは道路が濡れているように思えたことだった。雨が知らない間に降ったのかと思ったのだが、それは樹影だった。真向かいの薮の木立の影がくっきり輪郭をもって倒れてきていたのだ。まさにそれは「花影婆娑と」の光景なのである。

いやー、何十年となく住んでいたが、目の前の薮が夜も影を作るなんて思ったこともなかった。いつも我が家の前に街灯がついているので、そこに木立の蔭が映ることなど無かったのである。これも、東北関東大震災のお蔭かも知れない。

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