「円錐」創刊25周年祝賀会

澤好摩という名前をいつ頃から意識したのだったか。とにかく幾十年か前である。本名なのか俳号なのかもいまだ知らないのだが、名前に先ずは惹きつけられたような気がする。

その澤好摩さんに出会ったのは10年くらい前の「俳句界」の座談会の席だった。他の俳人も初対面だったし、そのことに驚くことは無かったはずだが、澤好摩さんがその場にいたことは遭遇したという感覚だった。

こんなことを書くと、さぞや澤好摩さんの作品、文章、その業績を熟知しているように思われそうだが、全くその作品も文章も読んでいなかった。ただ年月の間に、活字上で澤好摩と言う名前に出会うたびに、そこに立ちのぼる人物の空気のようなものを蓄積してきていたに過ぎない。

本人が知ったら、ほんとうにがっかりしてしまうと思うのだが、俳句の世界の私とは遥かな反対側で生きている作家なんだというぼんやりした認識しかなかった。

そんな澤好摩さんの「円錐」での創刊祝賀会での企画が「どっちが名句だ」というもの。著名俳人の誰もが知っている名句と呼ばれる句を論じ合うのだ。

一満月一韃靼の一楕円   加藤郁乎

秋の航一大紺円盤の中   中村草田男

最後の「名句くらべ」はこの二句。途中で草田男の句に誰かが「これ名句なの」という声を発して、誰かが「草田男の句集の序文で虚子がとりあげているらしいよ」と答えた。

わたしも、どちらも好き嫌いでいえば嫌いの箱に入れてしまう。われわれはこの句を数ある作品の中から覚えたというよりは、名句として差し出されて覚えた、という不幸を背負っているのかもしれない。

とにかく面白い企画だった。この場でほんとうに久しぶりに藤原龍三郎さんに出合い、三宅やよいさん、関根誠子さんにも出会えた。池田澄子さんにも一年くらい合わなかっただろうか。忘れるところだった。十郎さんも何年振りっていう感じだ。

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