暁の夢に入り来し深轍   齋藤愼爾

句集『陸沈』は、すべて作者だけが入れる夢の世界で詠んでいると言ってもいい。
それだからこそ、(たはやすく身一つを移す雁列に)と、わが身を自在に移せるのである。夢の入り口に深々とある轍の跡こそ、齋藤愼爾氏の夢の象徴なのだと思う。
「齋藤愼爾句集『陸沈』 2016年  東京四季出版」より。
他に
雛の間の月の雫は花のごと
春満月面に毛毬撞きし跡
白妙の産衣は朧への橋懸り

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