麦踏の人入れ替はることもなし   加藤哲也

長い時間、麦踏の光景を見ていたのだとわかる。
そのことで読み手の中にも麦踏の人の姿が印象付けられていく。永遠にその麦踏は続けられて行くような錯覚さえ覚えてくる。

そういえば句集には、(悲しびはかなしびとして種蒔けり)という句もある。その種が麦踏の麦とも呼応して、静かな光景である。他に(知らぬ間に夢とはぐれし二日かな)(露の玉こころの隅をころがりゆく)など。「加藤哲也句集『美しき尾』 2016年 角川書店」」

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