夏めくや斧横たへてある土間も    茨木和生

この斧は樵を生業にしている家のそれであろう。山の木を切るために用いる大きさがあるから(横たへ)の言葉も生きるのである。あるいは(横たへ)があることで、斧の存在感が浮き上がる。

横たえてあるのは、多分これから山に入るのからだろう。静物画を見るような印象的な構図で、まるで斧が生き物のようにも思える。

「第13句集『熊樫』東京四季出版」所収。この句集は1年を区切って創られたものだとある。ほとんどが、住んで居る奈良生駒の地で得た作品.

「熊樫」抄
酒蒸はよけれ麦藁鯛なれど
松茸飯炊くにぎやかに火を育て
どの家の裏も湖秋の風
鱧の旬すなはち祭近づけり
湖のなきごとけぶる雪解かな
どぶろくはぐいぐいと呑め鎌祝
神酒提げて山に入り行く年の暮

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

HTML convert time: 0.180 sec. Powered by WordPress ME