主宰・塩野谷 仁主宰『遊牧』2016年4月号転載

俳誌探訪   筆者 林 ゆみ

「ににん」 冬号  通巻六一号
発行人/岩淵喜代子 発行所/埼玉県朝霞市
季刊。メッセージ「書く場があることも力である」
冬号は創刊十五周年記念特集号。記念企画「俳句と詩」の
構成で、一人二頁紙面を取り、俳句は十一句。

三角は涼しき鶴の折りはじめ    岩淵喜代子代表
逢ひたくて螢袋に灯をともす
緑陰を大きな部屋として使ふ

万の目の笑顔に出合ふ花の下    及川希子
ポケツトに椿の闇を持ち歩く    尾崎淳子
鳩うかぶ水一枚の夕べかな     木津直人
祝祭のやうに降り積むえごの花   武井伸子

会員作品は「ににん集」「さざん集」の二集。

「ににん集」…兼題「引力」
鶴わたる記憶も引力にたわむ    尾崎淳子
引力はともだち木の実草の実よ   川村研治
引力の雫と思ふ黒葡萄       浜田はるみ
引力を斜めにそらす鰯雲      高橋寛治

「秀句燦燦」川村研二、浜田はるみ氏が鑑賞執筆。そのほか評論多々。にんんの発展を祈ってやまない。

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