俳誌探訪 筆者 林 ゆみ
「ににん」 冬号 通巻六一号
発行人/岩淵喜代子 発行所/埼玉県朝霞市
季刊。メッセージ「書く場があることも力である」
冬号は創刊十五周年記念特集号。記念企画「俳句と詩」の
構成で、一人二頁紙面を取り、俳句は十一句。
三角は涼しき鶴の折りはじめ 岩淵喜代子代表
逢ひたくて螢袋に灯をともす
緑陰を大きな部屋として使ふ
万の目の笑顔に出合ふ花の下 及川希子
ポケツトに椿の闇を持ち歩く 尾崎淳子
鳩うかぶ水一枚の夕べかな 木津直人
祝祭のやうに降り積むえごの花 武井伸子
会員作品は「ににん集」「さざん集」の二集。
「ににん集」…兼題「引力」
鶴わたる記憶も引力にたわむ 尾崎淳子
引力はともだち木の実草の実よ 川村研治
引力の雫と思ふ黒葡萄 浜田はるみ
引力を斜めにそらす鰯雲 高橋寛治
「秀句燦燦」川村研二、浜田はるみ氏が鑑賞執筆。そのほか評論多々。にんんの発展を祈ってやまない。