雪やろか長い廊下を渡りけり    矢上新八  

一句はひとえに「雪やろか」の関西弁が、臨場感を出している。句集『浪華』はすべて句集の題名通り大阪弁で詠まれている。掲出の句は標準的な言い方なら(雪なるや)とかいうのかもしれないが、ここでの大阪弁は簡潔さを呼び出している。そのうえで、作者の姿も、その語音から自ずと伝わってきて効果的な言葉になっている。ほかに、(縄跳びこぐれば蒼き浜辺かな)( なんせこの命ひとつや芋の粥)( 心やすい神さんもおり初詣)矢上新八句集『浪華』2015年 書肆麒麟

 

岩淵喜代子

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