露けさに山が歩いて来るやうな   岩岡中正

露そのものは自然現象だが、このことばを被せた(露の世)(露けし)(露の間)(露の底)になると(露けさの昔に似たる旅衣蓑の島の名には隠れず 源氏)のように心情的になる。

掲出句は(山が歩いてくるやうな)の措辞によって、和歌の世界とは違う男心で俳諧的になった。他に(露けさに)を納得させる一句である。(相聞のごとくに橋や花の散る)(山繭の風のごとくに眠りけり)(こゑあげてゐる一本の夜の新樹)など。岩岡中正句集『相聞』2015年角川書店  (岩淵喜代子)

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