屈強の男が揃ひ棕櫚を剥ぐ   茨木和生

棕櫚は箒にするのだろうか。否、この句は(屈強な)に続く(棕櫚)という言葉が、意味を越えて世界を作っているような気がした。その世界とは、見えているようで見えない世界である。黄泉の暗さがはみ出してきているような、見えなさなのである。(春灯消えてしばらく人のこゑ)(椎の実と見極めてから拾ひけり)など、重厚な風景である。
茨木和生『真鳥』   2015年   角川書店

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

HTML convert time: 0.558 sec. Powered by WordPress ME