死んでゐるのか生きてゐるのか着ぶくれて   小原啄葉

着ぶくれとは、寒さに耐えるために服を重ねて、少し無様な感じのしないでもないような姿、まさにその言葉のとおり身そのものが膨れた感じの状態を言う。
体に幾重もの衣服をかさねているために、どこか動作も緩慢になる。それがまるで精神にも及んでいるかのごとく、ときに愚鈍な印象にもなって哀れさを誘うのである。
一句はそれを「死んでゐるのか生きてゐるのか」という措辞によって言い表している。小原啄葉句集『無辜の民』2014年11月 角川学芸出版

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