塩野谷仁句集『私雨』 2014年5月  角川学芸出版

塩野谷氏の第七句集。「遊牧」主宰

麦飯は日暮れの匂い私雨
盆過ぎの一本にして影ひとつ
人去りて坂の残れることが冬
日の暮は指ひらくとき大冬木
野遊びの終りはいつも大きな木
落日を確かめにゆく蝸牛
にわとりを真っ白にして十一

以前から詩情の濃い句を作る作家、という認識を持っている。
今回の句集もその期待を裏切らない。
一句目の句集名になった麦飯の句比喩、二句目、三句目四句目の透徹した視点。ことに四句目(野遊びの終りはいつも大きな木)の詩情豊かな風景が魅力的である。

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