青柳志解樹句集『里山』が第三回与謝蕪村賞を受賞した。それに唱和するように「山暦」結社内から青柳志解樹俳句鑑賞が二冊刊行された。こうしたことは一朝一夕には出来ないことであるから、結社内の充足を感じさせる刊行である。
中村姫路著 青柳志解樹の世界 『自然即自然(じねん)のこころ』 2014年 北溟社
大方がひとりの作家を鑑賞を一冊にするときには編年順が多いのだが、この一書はテーマごとに並んでいる。たとえば、目次の最初のほうには「牛」が続く。そのあと「石」・「薔薇」「青春」など。あるいは、「詩性」で纏めたもの、「ふるさと」「さびしみ・かなしび」などいうタイトルもある。このタイトルで纏めた鑑賞法に、著者の俳句鑑賞への
切り込み方を感じる。たぶん。牛のタイトルで4回続くのは4ヶ月続いたのではないかと想像する。
前澤宏光著『人間の四季 俳句四季』 青柳志解樹俳句鑑賞 2014年 ウエップ
こちらは、見開きに一句の青柳志解樹の俳句を正面から取り組んでいる。たぶんこの二冊によって、青柳志解樹俳句はもっと深まるはずである。