追悼 岡本敬三さん

130808_2250~01 正津さんを中心にした会の方たちのご尽力で岡本敬三さんを偲ぶ会が催された。実は岡本さんが亡くなった翌日がににん51号の締切日だった。清水哲雄さんが、岡本敬三君なくなったので、その追悼文を書くので締め切りを伸ばしてというメールで、その死を知ったのだ。清水さんは出席できなかったのだが、その代わりに、会の最後に土肥あき子さんが「ににん」の巻頭言である清水さんの文章を朗読した。改めていい文章だったと思った。

お陰で久しぶりに万愚句会の方達にもお目にか掛かれた。岡本さんはその人柄を語るだけで小説になってしまうような方だった。コーラスを海外でも活動してきた土井さんと久しぶりにお話を出来た。彼女は銀座で岡本さんと出会ったことがあったことを話された。「岡本さんだ」と気がついたのだが、なんだか急いでいるみたいで声をかける余裕がなかった、とおっしゃった。そういえば、私も何回か池袋で出会ったことがある。もっとも、池袋のカルチャースクールで小説を教えていたのだから、そこで会うことが多いのは当然なのである。土井さんの話を聞いていて、私もいつも声を掛けそびれていたことを思い出した。

細身の肩にシュルダーバックを掛けて、その肩を先立てるかのように早足でゆく姿には、声を掛けにくい。現実の周囲には全く興味がなく、世界の向こうに急いで向かっているかのように、西武デパートの地下の人混みを疾走していた。今日はその教室に在籍している人、在籍していた人、そうして出版社の方が集まっていた。司会者が二番目の挨拶を振ってきたのであわててしまったが、私は岡本さんの転生後を考えながら会場に来た。岡本さんからどんな動物も浮かんでこない。それで、次の句を挨拶の代りに詠んだ。

   夜光虫なぜか敬三さんかとも

岡本さんの小説は
       「日々の余白」は2001年新潮新人賞最終候補。
       「根府川へ」は2002年太宰賞最終候補。
          「無言歌」は2003年年太宰賞最終候補。

私は東海道線の根府川に差し掛かると、岡本さんの小説『根府川へ」を思い出すのである。

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