田口紅子『土雛』 2013年2月 ふらんす堂

栞 村上護

水面より空のはじまる大旦
白鷺の水をはなれず牧水忌
ぽつかりと花の奈落となりし谷
ぶつかりあひて鶏頭の赤くなる
枯るるもの葦原に音生みにけり
どかどかと来てなまはげのどかと去る

筆太の写生、その写生も確かな感覚の裏づけから得られているので、読み手の共感を二重に得るのだろう。

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