八木忠栄第三句集『海のサイレン』 2013年二月 私家版 百部限定

次の間で溶けだすをんな十二月
知恵の輪に遊ばれてゐる冬ごもり
冬渚ひとりあるけばぜんぶ冬
春の宵雲それぞれに寝相あり
油照りゴッホの耳を拾つたよ
逃げ水に攫はれて行く園児たち
ころがつて春のバケツになりました

バケツの句はその形から意外な転がり方をする。作者が見ているのは転がっても転がっても、倒れたあたりをぐるぐる転がっているバケツ、まるでバケツ自身の主張しているようだ。

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