俳誌探訪 筆者 淡海うたひ
『ににん』(岩淵喜代子代表) 2011年秋号 通巻44号
2000年9月、岩淵喜代子氏が埼玉県朝霞市にて創刊。季刊の同人誌。創刊号O号の「創刊にあたって」の中で氏は、「俳句の俳とは、非日常です。俳句を諧謔とか滑稽など狭く解釈しないで、写実だとか切れ字だとか細かいことに終わらないで、もっと俳句の醸し出す香りを楽しんでいきたいとおもいます。」と書いている。
また37号では、「同人誌とは自分を発揮するための場と考えていただけばいい。『ににん』に拠れば自由に書く場と句を発表する場がある。」としている。大きな結社誌は内側へ視点を合わせているが、同人誌は、外へ向かって発信した編集になっている(11号)という。『ににん』 のホームページが充実しているのもこのコンセプトに適っており、私のような部外者でも創刊号から最新号までの目次と編集後記を見ながらこの欄を書くことが出来るわけだ。
題字を読み込む「ににん集」は一人5句ずつ掲載。当号の題は「酌」。
月下独酌このまま何処かに運ばれさう 岩淵喜代子
かたはらに子猫眠らせ独り酌む 牧野洋子
潜入の蟻は斟酌もなく潰す 川村研治
雑詠の「さざん集」も一人5句ずつ掲載。
八月の柱一つを拠り所 岩淵喜代子
木霊夜々宿して滝の落ちつづく 長嶺千晶
送行や枕の硬き母の家 新木孝介
にきびのごと言語浮き立つ酷暑かな 栗原良子
「物語を詠む」という24句述作の全画もあり、当号は松井今朝子作「吉原十二月」と日野啓三作「向う側」。
門松の内輪向きなる置屋口 伊丹竹野子
サングラスかけ向う側へ行つたきり 武井伸子
連載評論は、岩淵氏のライフワークともいえる原石鼎研究「この世にいなかった俳人①」『手簡自叙傅』(四)のほか、田中庸介氏の「わたしの茂吉ノート二十二」『最上川の増水(その1)』、正津勉氏の「歩く入・碧梧桐」『子規膝下』、と大変充実している。
この他、巻頭言に清水哲男氏の「下達雀からの眺め 七」『写真の目』、木佐梨乃氏の「英語版『奥の細道』を読む」第16回『尿前の関』。
次号から十五周年に向けて、「火と灯の季語」を集める企画が発表されており、同人誌ならではの情熱とフットワークの良さが感じられる。
「俳誌探訪」を全文転載して下さいまして、誠にありがとうございました。私の手許へは「春月」1月号は今日届いたばかりですのに。本当に、貴誌「ににん」のフットワークの良さには脱帽致します。
うたひ様
お礼状書いたのですが、まだ投函していません。
すみません許可もいただかないうちに。
今日は家に一日居りましたので、こんなんときにと、UPしておきました。
今後ともよろしく。