山口優夢第一句集『残像』 2011年 角川学芸出版

帯・中原道夫 栞・櫂未知子
俳句甲子園出場がきっかけとなり句を作りだしたという1958年生れ。この一集はその俳句甲子園以後の学生生活の成果だという。優夢というお名前は本名だと、ご本人から伺ったことがある。名は体を現わすっていうのは、やはり本当かも知れない。

 あぢさゐはすべて残像ではないか
 火葬場に絨毯があり窓があり
 春雨や木の階段が書庫の奥
 大広間へと手花火を取りに行く
 腕に腕からめて春は忌日多し
 泣くときは眼鏡外せり額の花

 心臓はひかりを知らず雪解川
 硝子器は蛍のごとく棚を出づ
 鶏頭の上に煙草の煙消ゆ
 さはやかや金平糖に波の音
 親戚を町の名で呼ぶ茸飯
 弁当を四つに仕切り風の盆

いつもいつも、こんなふうに二物衝撃の句を作りたいと思いながら果たせないことを、この作者は軽々とやって見せてくれていた。

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