松永浮堂第四句集『遊水』 2011年 角川書店

  ころがつて小さくなりぬ毛糸玉
  教壇の夢より覚めて冬ごもり
  渦避けて渦に近づく渦見船
  団栗を拾ひ集めて捨てておく
  くべ足して煙の重くなる焚火
  日の中に落ちてとどまる椿かな

昭和31年生れ・俳人協会新人賞受賞者。所属結社『浮野』創刊に参加したのが20歳ごろのようだから、純粋な落合水尾門下。一句目の(ころがつて)の省略の方法。(教壇)の生活感、(どんぐり)の周囲への機微。(くべ足して)の感覚。(日の中の)描写力。何れも写生方法が無理な言葉で力まない好句集である。

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