2014年10月 のアーカイブ

夜光虫の水をのばして見せにけり   岩淵喜代子

2014年10月3日 金曜日

評者 蟇目良雨

(「俳句界」2014年月号)  夜光虫が波間に見せる光の変幻は見ていても興味が尽きないが、その変幻の最中に夜光虫が水を引き延ばしているように見えた一瞬をとらえたが掲句である。夜光虫の数万の群れが一生懸命に水を引っ張り延ばしていると思わせることで一つ一つの夜光虫の動きまで見えてくるようだ。夜光虫の動きを見詰めつづけて得られたもので、「物の見えたる光、いまだ心に消えざる中に言いとむべし」芭蕉を実践して得られた堅実な写生句になった。
「春耕」10月号 鑑賞「現代俳句」77より

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