「港」2016年3月号より転載

 今月の結社誌    筆者・上野 英一

「ににん」冬号
平成十二年秋、埼玉県朝霞市で岩淵喜代子氏創刊。「同人誌の気概」ということを追求していきたい。
主宰は置かず、季刊誌(同人誌)として年四回発行している。2016年冬号で通巻61号。投句者全員が同人で代表岩淵喜代子氏。
2015年創刊十五周年を迎え、今月号はその特集を組んでいる。表紙を開くと、岩淵喜代子代表の挨拶、創刊十五周年祝賀会の記念写真が四ページにわたって掲載されている。

祝賀会記念句会 兼題「百」
百年の柱磨きて菊の酒      谷原恵理子
百歳のはじめは赤子草いきれ   岩淵喜代子

創刊15周年記念企画「俳句と詩と」俳句と詩とがどのように呼応し合うかという専任スタッフが一年がかりで考案したユニークな企画である。

広島忌百万の贔沈黙す   西田もとつぐ
ちちをかえせ ははをかえせ
こどもをかえせ としよりをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ    (峠三吉「原爆の詩」の一部)

ににん集より 兼題「引力」
しづかなるものは引力返り花  川村 研治
ふくろふの眼引力押し返す   浜岡 紀子

さざん集より
立冬や色様々を野に嵌める  高橋 寛治
枯董原ひかり遠くへ届きたる 浜田はるみ

投句者全員の意気込みが随所に感じられる俳誌である。

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