小説工房

小説は私には向かない、と思っていた。なぜかと言うと、説明しなければならないことがたくさんあるような気がして面倒くさいな、と思っていた。それなのに、なんとなく「小説」の講座を申し込んでしまった。

二日間で八コマの授業を終わると最後に小説が出来上がるという仕組みのようだ。この方法が面白かった。いつもは結構居眠りなんてしてしまうこともあるのだが、今回一度も居眠りが出なかったのは、つぎつぎ課題を書かなければならなかったからだ。

今回はパソコンを持ち込んでおいてよかった。講座では、初めのほうで小説を書くために主人公のイメージを作らせた。私は五〇歳の女性・フリーライター・ロングヘアー・などを書きこんでおいた。そこからつぎつぎ質問が出されて適当に書いていくのだが、講師の課題は決してその最初に決めたイメージのための質問でもなかった。

例えば、★夏目漱石「こころ」のKに来世で出会ったら「わたし」はどんなことばをしゃべるか。★イケメンの顔を見せて、どんなことをつぶやくか、★こんなことに出会ったら嫌だなーと思うようなこと、などなど10項目以上の課題についての小文が蓄積された。

初期に作らされた「五〇歳の女性・フリーライター・ロングヘアー・醒めた視線」などの主人公をイメージしながら「水曜日の晩ごはん」の場面を書くようにと言われたのは二日目の昼頃。そしていよいよ最後の時間に小説にまとめよ、という順序になった。

ここでパソコンが威力を発揮した。これまでの小文をつなげたり前後させたりするのは手書きでは手間取る。掌編小説があっという間に出来上がった。できるものなんだなー、としみじみ思った。

暇そうにしていたためか、先生が近づいてきて作品に目を通しているうちに、「かっこいい」と言った。私の作品の中の「孤独になんてもう居直ってしまっている」という箇所にいたく感心したみたいだった。二度ほど呟いた。

私のような年齢のものには当たり前のことが、若い人には新鮮に映るのかもしれないと思った。なんだか、小説が書けそうに思った。

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