2018年85号「八千草」 ~愛憎俳誌 

筆者・横川博行

『穀象』岩淵喜代子句集(ふらんす堂)

「ににん」代表第六句集。岩淵喜代子さんは2014年発行の『二冊の鹿火屋』で俳人協会評論賞を受賞されていて、八千草二十周年の祝賀会にもご出席頂き、祝辞を頂戴した。

しっかりと事象を見て、詩の世界を構築していて、それぞれの句に深みがあり、学ぶところが多い。栞には連句の浅沼璞さんが「人称の多様性から」と題してこの句集の鑑賞文を書かれていて興味深い。

読み終えて五句を選んだ後で帯の作者の自選句欄を見ると一句目に山椒魚の句がありわが選句との一致に、嬉しくなってしまった。狐火の句には脱帽。いまや狐火を見ることもなく、いわば架空の季語であるが、鏡を据えることにより、そこに青白い炎がゆらゆらと映ってくるから不思議である。名手の技とはこのようなものかと感じ入った。

生きてゐるかぎりの手足山椒魚
みしみしと夕顔の花ひらきけり
狐火のために鏡を据ゑにけり
奥山の青い氷柱を遺品とす
春遅々と伽藍を繋ぐ石畳

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