明けてより暮るゝまで雨瓢の臀   山口素基

一句はただただ垂れ下がっている瓢に視点を当てている。しかも、下から丁度瓢の臀を見上げるような位置で視点が定まっているのが、その存在感を確かなものにしている。日に何度となく目にしていたのだろう。その繰り返しのある日は、雨の一日で見上げるたびに雨の中の瓢の臀があった。
作者の虚心というか無心な姿が、おかしみを漂わせながら、次第に瓢と作者の距離が一つになるような気さえしてくる。(句集『雷鼓』2014年11日 文學の森)より。

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