佐藤郁良第二句集『星の呼吸』  2012年4月 角川書店

黒板は濃き森の色十二月
冒頭にトンネルを置く旅始
寒稽古空気の皺をのばりけり
すぐ先の未来を手繰る平泳ぎ
蒲団叩く団地に谷間ありにけり
朧夜の汐入川の匂ひかな
春眠の髯を育ててをりにけり
山々に神のあらそふ青嵐
音もなく日暮を運ぶ蟻の列
ゆきずりの真水のやうな藍浴衣
つまらない街閉じ込めよ石鹸玉
花冷の楽屋出てゆく楽屋口

昭和43年生れの佐藤氏は俳句甲子園育ち、ということも含めて初めから俳壇の話題性を攫っていた。そうして第一句集で俳人協会新人賞も受賞。そういう意味では、才能を十二分に認めて貰えた幸運な作家でもある。俳句生活の最初から俳壇の中に居た、という感じがする。佐藤氏の俳句の上手さの一つは比喩、二番目は感覚のよろしさだろう。

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