『遊牧』2011年12月号・主宰塩野谷 仁

俳誌探訪    筆者 高野礼子
 「ににん」  夏号   通巻43号 代表/岩淵喜代子  発行所/埼玉県朝霞市

今号の巻頭頁は、清水哲男氏が「震災詩歌」を執筆。続いて、一誌の特徴である「物語を詠む」のコーナーは、石原慎太郎氏の『人陽の季節』を詠んで二十四句。その作品より。
  
  一撃のボディフックや目雷      伊丹竹野子
  太陽の季節遠のく秋の空

「ににん集」 「(独)一字を詠み込んでの作品)より。

  ジャズピアノ独身行族といふ日焼け   長嶺 千晶
  独活大本鬼も独りになるときか      岩淵喜代子
  なゐ去りて寡独の増えし夏港       辻村 麻乃
  
「さざん集」より
  夏立ちぬ南蛮潰の酢が効いて      平林 恵子
  しゅわしゅわのグラスを透かす夏景色 木佐 梨乃
 
連載評論は、『預言者草田男』を長嶺手品氏、「この世にいなかった俳人』を岩淵代表、『わたしの茂吉ノート』を田中庸介氏、『歩く人・碧梧桐』を正津勉氏と、共に丹念に書かれていて、それぞれの作家の人問的魅力が伝わってくる。その他に、ミニェッセイの「月下独酌」、「吟行燦燦」、「俳句の風最」、「奥の細道を読む」など、中味の濃い充実した内容である。

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