2013年6月7日 のアーカイブ

ににん51号の校了

2013年6月7日 金曜日

「ににん」の句会は毎月第一月曜日と第二月曜日。今月は3日が初校の日だったが、前日まで出雲にいたので、まったく準備ができていなかった。それでも何とか初校の段階を終わって、その資料をもとにデーターの修正をして昨日やっと三原プリントへ発送した。一段落である。

落ち着いてみると、私にとって出雲は何度行ってももうこれでいいということがないようだ。今回廻ったのは石鼎所縁の地と神話の出雲だった。以前にほとんど回っているところだったが、帰ってきて「『石鼎窟夜話』を読んでいると、これで終わりにはならないなーと思うのだった。石鼎の視線で出雲を歩こうかと思う。

万九千神社に寄ってきたが、そのあたりに万九千山という山があるのを、『石鼎窟夜話』の文章で知った。「母のふところ」の章である。

 私たちの郷土の南方に万九千山という山がある。昼見るとそのてつぺん近くに赤い禿があって、その禿の直ぐ上にこんもりと林が見える、それは松林でもあろう。小学校の時に遠足で一度登ったことがあるが、子供の足で朝早くから出て夕方晩く帰って来られる程の道程である。そこに神社でもあるのか、郷人は万九千様ともよぶ。
 母が里帰りをする時には、この山をいち先きに越えるのであるが、道の順序からいって夜明の未だ全く暗いうちに出発をするので、その時点して出た提灯がその山を越えてしまうまでこちらから見えたのだそうである。
 その灯の見える頃、父は妙伝寺馬場の松並木の間へ出て、その一点の灯が麓へ現れて、山頂の森を越えるまで、こちらからじっと見ていたのだそうである。
ちんがりほんがりと見える提灯の灯が、頂を越えて全く見えなくなってしまうと、父は始めて我が家の方へ歩を移し「ああ無事に万九千さんを越えました」と見
送りに来ていた近所の誰れ彼れや、案じ待っている祖父祖母をはじめ、居残る子供等に、「もう一度休みましょうぜ」と告げながら、再び寝床へ寝ころんで、みんなと夜明を待ったそうである。

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