2009年3月 のアーカイブ

箱根へ

2009年3月11日 水曜日

「石鼎評伝」のゲラがきている。この校正が一筋縄ではいかないのは、石鼎俳句の部分。それは旧字であることもその一つだが、句集によって表記が違っているからである。
 
挿入した俳句については、呑兵衛さんがお手伝いの名乗りを挙げてくれたのだが、入稿直前に最後の仕上げと思って、調べはじめてみると、それはそれは大変な時間を費やすことなので、直ちにお断りのメールを入れておいた。お仕事の合間に手掛けるにはあまりに煩雑だからである。

なにしろ挿入句の一句ごとに、「ホトトギス」「花影」のほかに3冊の「石鼎全句集」の全部に目を通さなくてはならないからである。ところが、呑兵衛さんからは、入稿後も何回かに分けて調べたデーターが送られてきた。

一句ごとに付してあるコメントというか、ご自分の見解を読んでいると、こうした作業がとても好きな方なんだというのが分かった。それは、校正で役立たせていただくことにして大切に保存しておいた。何しろ、わたしは、こうしたデーター化はしないで、原稿の上で処理していたからである。

しかし、改めてゲラに目を通すと、やはりもう一度確認しなくてはいられなくなった。僅かではあるが、私の原稿と呑兵衛さんのデーターの違いもあったからである。そんなこともあって、箱根に籠って校正に専念することにした。週末には「ににん」のゲラも上がってくるというし‥‥。

大潮

2009年3月10日 火曜日

金沢八景の海辺でなにやら採っている人がいた。「あおさ」かなー、と思いながら近づくと、浅蜊であった。連れが入漁権が必要ですか、と聞いたら何も要らない、と応えていた。それはそうだ、海はみんなのもの。

午前中の引き潮の間が浅蜊の採りどき。大きな笊にいぱいの浅蜊を見せてくれた。あげるよ、と言ってくれたが、これから金沢文庫へ廻らなくてはならないので、遠慮した。

asari1.JPG 

浅蜊の子供なのかどうか。とにかく小さいのに大きな貝と同じ形で同じ模様。比較のために50円玉を置いた。 ところが、帰りに寄った滋庵さんの店で「ますほの小貝」というものを見せてもらったら、この貝の4分の1くらいしかない。
夜道で仰いだ月は満月だった。

      山霊のむさゝび投げて春の月    石鼎    大正10年

あたたかし

2009年3月7日 土曜日

夕べの空に上弦の月が冴えていたが、今日も青天。
駅までを黒目川沿いの道を選んだ。鴨がよちよちと浅瀬を歩いていたかと思うと、泳ぎだした。足が届かなくなったのだろう。

岸に近い浅瀬に、水藻の一群のようにくろぐろと靡くものがあった。それが水藻だけではないのは、ときどき銀色に翻るとき明らかに、魚であるのがわかるのだ。それと一塊の端の影絵が明らかに魚なのだ。

だが、全部が魚なのか、それとも水藻に魚が群れているのかが分かりにくい。直径にしたら80センチ前後のくろぐろとした塊だった。魚の大きさは小振りの鮎よりもっと小さいのかもしれない。私は、小石をその黒い塊の近くに投げてみた。

魚は八方に散ると思いきや、そのまま全部で一斉に移動した。移動と言っても一メートルほど移動してまた大きな塊の振りをしていた。よくも、行動が揃うものである。

少し流れの早いところには、鯉が10匹ほど集っていた。ときどき、その流れの速いところを目指しているのは、上流に行く気なのか。その流れに出ては流されて、もとの場所に戻っていく。「少し流れが強いな」とでも言い合っているのだろうか。

それぞれが仲間意識を見せていて、魚の世界を覗いた気分になった。

          春の水岸へ岸へと夕べかな    原石鼎   昭和10年

ににん編集終了

2009年3月7日 土曜日

今月は2日が校正日だったので、意外や早く「ににん」の編集がおわった。編集の最中にいつもびくびくしているのは、途中でパソコンに不具合が生じたときのこと。いままで、そんなことはなかたのだが、周りで故障のためメールが不能などと言われると、不安になる。だからとにかく印刷所に送るとほっとする。

落ち着いたところで、なんとか「ににん」のレイアウトのことを考えなくてはいけない。実はこのことはずーっと気に掛っていたが、忙しいためにやり過ごしてきていた。しかし、10周年記念号を意識するたびに、そのときまでには、なんとか表紙もページレイアウトも、もう少し洗練させたいと思っているのである。

レイアウトをプロにお願いしようと思ったのだが、かなり高額。いや、それが平均的な価格なのだが、「ににん」のような小さな同人誌にとっては高いのである。それに、座談会を企画して、優に「ににん」1号分以上の出費をしたばかりなのである。

今回はとりあえず、表紙の文字を小さくしてみた。それと、評論集のページごとに付してあるタイトルのゴシック体を変えてみることにした。あとの大きな課題は「ににん集・さざん集」のレイアウトだ。活字の本なのだから、ページはあっさりしているほうが理知的な感じがする。だから、レイアウトと言っても、タイトルの置き方、文字の大きさ、それに僅かな線を加えるくらいでいい。

みんなにも、考えてもらわなくては。 「ににん」にも、それに近いデザインの仕事をしている人達がいるので、一年間かけて、練り上げていきたい。 読者の方にもお知恵を借りたい。

3月3日

2009年3月3日 火曜日

三月になって雪が降るのは、珍しくはないが、その三月近い27日に初雪というのは珍しい。それに続いて、3日の今日は夕方から雪になったのだが、霙で、夜半には完全な雨になってしまった。結局、ことしは雪景色にはならないで終りそうだ。

fuyu4.JPG

写真は、月末に出かけた越後湯沢の雪。ほんの一時間ほど列車に乗れば、こんな雪景色に出会えるのだから、日本は変化のある国である。 

             奥山に大雪やある余寒かな   石鼎   昭和16年

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