2010年1月 のアーカイブ

行方克己第五句集『阿修羅』 2010年1月  角川書店

2010年1月6日 水曜日

仔馬すぐもどるつながれたるごとく
引つかけし捧ごと放り蝌蚪の紐
海かけて飛んできちきちばつたかな
しぐるると麒麟は首をもてあまし
一樹よりわが寒林ははじまれり
波の音踏めば踏まるる凉夜かな

阿修羅像わが汗の手は何なさむ
冷麦や十年は舌滅ばずあれ
日向ぼこより父帰らず母帰らず
われは人に汝はなまこに生まれたる
朝な朝な生活の雪を踏み固め
氷海をいま火の海と思ひけり

ーー私なりのスタンスで正面から俳句形式と対峙する毎日であったーー、という後書きを重く受け止める一書であった。初めに揚げた六句には物の本質を捉えようとする意志が見え、後者の六句には俳句表現方法への切口が見える。

浅井愼平句集『冬の阿修羅』2009年12月  俳句四季

2010年1月6日 水曜日

コスモスの黄色の揺れる猫の町
曇り日や苺は赤く皿白く
一月の水甕に浮く雲一つ
すれ違う尼僧は風の沈丁花
何処までが青空なのか冬近し
ゆで卵ふたつに割れば雁帰る
満洲や昭和印の燐寸箱

 俳句もシャーターチャンスを狙うものと思っている。写真家である浅井氏の視点を感じながや読むのは楽しい時間であった。ことに色彩感あふれた句に惹かれた。

加藤瑠璃子第三句集『吊し雛』 2009年12月  角川俳句叢書

2010年1月5日 火曜日

『寒雷』主宰の第三句集

象の背に花びら落ちてまた飛びぬ
梅雨深く空に浮くごと巨船来る
灯に入りて大きくなりぬ春の雪
まぶしくて白鳥のほか何も見ず
蕾見に毎日同じ薔薇の前
草引きぬ草が力を持つ前に
先頭が曲れば曲る春の鯔
何か当り雪かと思ふに間のありぬ

加藤楸邨の詠法を随所に感じる誠実な一集である。

男波弘志句集『阿字』  2009年11月  田工房

2010年1月5日 火曜日

北澤瑞史指導の『季』創刊からの出。昭和41年生れ。
北澤氏に亡くなった後『槐』『琴座』に拠っていたようだ。

列車いま大緑蔭の駅に入る
緑蔭の石ひやひやと尻にあり
下闇の動きて鹿の出でにけり
野を踏めば生まるる道や西行忌
みな橋の袂で居なくなる祭

北澤氏の抒情を感じる作品が随所に見受けられる。

有馬朗人句集『鵬翼』四海同仁  2009年11月  ふらんす堂

2010年1月3日 日曜日

 帯に「本格海外俳句集」と提示されているように、すべては海外詠として作句の国々の名がタイトルのようにもなっている。まさに、海外詠であるが身近に引寄せることで、その国の空気を醸し出す作品群になった。不思議なことにわれわれに身近に感じられる東洋の国よりも西洋のほうが鮮明に捉えられている。

タイ・ブーッケット島
はるばると南の島へ白扇
フランス
アカシアの花に真赤な飛行船
イギリス
月明の砂漠におかれ赤電話
泉への道を羊に従ひぬ
春の雨悪魔の舌をぬらしけり
対岸のフランス見んと蝸牛
巡礼の町の蠅取りリボンかな
戦争の幾度過ぎし麦畑
ヴェトナム
ひよいひよいと天秤棒や蚊喰鳥
アメリカ
秋風の俄に来たる蒙古より
杭州
金木犀月の香りと思ひけり
メキシコ
羽のある蛇を描きて日永かな
海辺より離れ行く道夕燕
子を背負ふ母が大勢風車

あけましておめでとうございます

2010年1月2日 土曜日

今年の使いはじめのウインドーズ7のパソコンからです。
まだ使い始めで、いろいろなところで躓いています。まずは、ブログやミクシイへのログイン。漢字登録などなど。ハガキソフトのインストール。これが嫌でいままで変えられなかったのですが、もう限界にきていました。
こんどはノートパソコン、しかもコードレスなので何処ででも使えるのがいい。
いちばんのメリットはこの部分である。家の中なら何処にいてもネットも印刷も可能。

とりあえず、新しいパソコンと少しずつ折り合いをつけていこうとおもいます。
本年もよろしくおねがいいたします。

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