有馬朗人句集『鵬翼』四海同仁  2009年11月  ふらんす堂

 帯に「本格海外俳句集」と提示されているように、すべては海外詠として作句の国々の名がタイトルのようにもなっている。まさに、海外詠であるが身近に引寄せることで、その国の空気を醸し出す作品群になった。不思議なことにわれわれに身近に感じられる東洋の国よりも西洋のほうが鮮明に捉えられている。

タイ・ブーッケット島
はるばると南の島へ白扇
フランス
アカシアの花に真赤な飛行船
イギリス
月明の砂漠におかれ赤電話
泉への道を羊に従ひぬ
春の雨悪魔の舌をぬらしけり
対岸のフランス見んと蝸牛
巡礼の町の蠅取りリボンかな
戦争の幾度過ぎし麦畑
ヴェトナム
ひよいひよいと天秤棒や蚊喰鳥
アメリカ
秋風の俄に来たる蒙古より
杭州
金木犀月の香りと思ひけり
メキシコ
羽のある蛇を描きて日永かな
海辺より離れ行く道夕燕
子を背負ふ母が大勢風車

コメントをどうぞ

トップページ

ににんブログメニュー

アーカイブ

メタ情報

HTML convert time: 0.107 sec. Powered by WordPress ME