岸本尚毅句集『感謝』2009年9月 ふらんす堂刊

岸本尚毅氏自選の15句 
  
ときじくのいかづち鳴つて冷やかに
  日沈む方へ歩きて日短  
    初寄席に枝雀居らねど笑ふなり  
    寒々と赤々と正一位かな  
  秋晴の押し包みたる部屋暗し  
  日高きに早や夕ごころ山桜  
  水の底突けば固しや水澄めり  
  焼芋を割つていづれも湯気が立つ  
  暖炉に火なし一切は遺品にて  
  その妻のこと思はるる不器男の忌  
  テキサスは石油を堀つて長閑なり  
  現れて消えて祭の何やかや  
  ある年の子規忌の雨に虚子が立つ  
  さういへば吉良の茶会の日なりけり  
  面白くかなしく遠く涅槃かな 


岩淵喜代子選の15句
  
冬ざれや月の光は押す如く
  凹みたるところが赤き焚火かな
  山あひに金の屏風をきらめかす
  水澄んで青空映る彼岸かな
  降る雨の見えて聞えて草の花
  さういへば吉良の茶会の日なりけり
  馬鈴薯と牛肉買へと梅雨の妻
  わが死後もある波音やうららかに
  そのそばに月あざやかに大花火
  テキサスは石油を堀つて長閑なり
  片蔭が水の面に続くなり
  冬ざれや踏めば水吐く野辺の石
  相似たる朝と夕べ初景色
  夕潮の満ちくるままに泳ぎけり
  昼顔の風の如くに広がりし

 何気なく拾って15句になっが、作者とは二句しか重ならなかった。作る側には、作ったときの思い入れもあるのだろう。作者の選句した句をみていると、「おかしみ」を目指しているような気がした。

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