『諷詠』2009年9月号・主宰 後藤比奈夫

現代俳句私評   遠藤睦子

      山の宿ペン書きの蟻走り出す     岩淵喜代子

 たしかに蟻は黒っぽく、大きさも同じ程であり、手足はペン書きのように細い。作者は山の宿に滞在されて、元気のいい山の蟻の走り出す姿を発見されたのであろうか。「ペン書き」は大変的確でユーモアもあり、その動きが見えて楽しい。
 机上に文章など書かれているかも知れない作者と重なって想像の広がる作品である。同時掲句、「ががんぼの打つ戸を開けてやりにけり」なども小さな生き物を通して細やかな季感への心の注ぎ方に感銘。                       

                             (「俳句四季」八月号(螢)より)

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