佐藤清美句集『月磨きの少年』  2009年刊 風の花文庫

 文庫本である。林 桂氏が代表の「鬣」が発行している。そういえば以前に紹介した林 桂 著『俳句此岸』も同じシリーズだった。あのときも書いたと思うのだが、やはり句集はこの形で、詩集のように持ち歩きながら読みたい。

   スミレ咲き空はスミレに触れている
   仔猫来る梢を揺らす風を見に
   どこまでも枯野自転車空色で
   春隣わたしの席はそこにない
   謹んではそびらの形に闇があり

 句集名の句は「梯子には月を磨きにゆく少年」があり、メルヘンチックな作品に本領を発揮している。

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