夕日

薄曇に透いて夕日が形をなさずにどろどろとしていた。
これでは明日が天気なのかそうでないのかわからないなー、

突然真上に鳥の鳴き声がした。
見上げるともない眉の上を、
何羽もの小さな鳥が放射状に飛んでゆく。
たがその先頭の1羽だけが異常に大きな鳥なのだ。
 
とにかく一直線に先頭の大きな鳥を追っている。
それが目に止まったときに、
なぜか小さな鳥の声に悲壮感を感じた。

追いかけている小さな鳥は10羽ぐらい。
親子なのか一族なのか。
ーー捕まえて!
と悲鳴を上げているのだろうか。あるいは、
鴉に咥えられている子供の名を呼んでいるのだろうか。

大きな鳥は鴉に違いない。
その嘴にはさんでいるのはきっと子雀だ。

一瞬の出来事で、逃げる鴉も、
追いかける雀の一族も
建物の陰へ消えてしまった。
足を早めて建物を通り過ぎてみたが、
追われる鴉も、追う雀の姿もなかった。

鳥たちの消えたあたりのビルの窓の
一つだけが夕日を捉えて、
窓そのものが燃えているように赤かった。
高層建物の一つの窓しか
夕日を捉えないということもあるのだ。

曇空のせいなのだろうか。

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