「ににん」の句会はいつも鍛錬会のようなもの。第一月曜日は五句の持ち句で句会と合評。そのあと、二回ほどの席題十句の句会を持つ。10時半開始で夕方までだから、あまり飲めないわたしも、その後のビールは美味しい。
実は次週の今日も同じような形で行なわれる。メンバーは「ににん」の一部の人と購読者で八人だった。ここのほうが平均年齢は高いかもしれないが、そんな年齢を意識させない句が飛び出す。11時から十句の持句の句会。その後席題10を決めておいてから食事に入る。
今日の席題は「次」「服」「明」「少」「意」「平」「種」「赤」「夜」「六」だった。これは一回目の持句よりも面白くなるのは、肩の力が抜けてくるからかもしれない。
***「次」
ふるさとや五十三次茶摘唄 M
梅干して次にゆつくり眉を描く U
滴りの次々落つ岩割りて T
蛇衣を脱ぐ次第に空の明るみて H
次郎より太郎のさびし兜虫 I
菖蒲湯に長男次男父の声 S
餓鬼大将の次郎健やか端午の日 F
***「服」
晶子の忌服は毎日替へるべし H
セーラー服どつと降りくる聖五月 U
更衣既製服は袖長し T
庭手入れ終え一服や柏餅 F
平服の新郎新婦紅薔薇 S
白服の女過ぎ行く築地塀 M
***明
明さんの少し遅れし初夏の句座 F
新聞は明朝活字夏休み T
十薬の花の明るくなりし午後 I
水音の札所の寺の明け易し U
夜網船空の明かりを頼りとす I
明年と言ひて終りし祭かな H
凉さは小川未明の人魚姫 F
***「少」
少年もときには阿修羅となる夜釣 I
少年と見えて少女や朴の花 M
清少納言驚かしたる植田かな S
紫陽花に少し怯えて立ちにけり H
***「意」
しゅるしゅると鼠花火に意思生れ I
夏木立意思決定は起立して M
颯颯と意中の人の夏衣 S
***「種」
枇杷の種床の色なり見失ふ K
目の前をゆくたんぽぽの絮に種 I
緑蔭や大道芸の種明し M
夏木立サラブレッドの種馬に U
種痘とは死語になりしか半夏生 T
***「平」
蒔物のほどけば平ら走り梅雨 U
栴檀の花の地平を棲家とす I
高々と平家の裔の鯉幟 F
蝙蝠や平衡感覚衰ふる T