大牧宏句集『冬の駅』第六句集  本阿弥書店

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昨日は東京會舘で雑誌「港」の20周年記念祝賀会があった。 そのお土産に頂いた主宰の第六句集。この作家の作品を集中的に読んだことがなかったことが、残念である。なんでもない風景、誰でもいつでも目の前にある風景をを非日常に変える才能をもっている。

軒氷柱太らすために夜はあり
揚雲雀引込線が励まして
ベル押して泣きにくる孫天の川
ヘリコプターは冬麗が好きらしく
エレベーターに人が棒立ち冬の底
踏台に乗らねば出せぬ夏帽子
曼珠沙華在来線のために咲く
しばらくは四隅を撫でて新日記

非日常に誘い込む断定はいさぎよくなければならない。この句集にはそれがある。

山蟻のすすみゆく音大きくなる
岬にて颯爽と風邪ひきにけり
熱燗さへあれば男は天下とる
老班を手にちりばめてクリスマス
文運のあるかなくかは虹次第
咳さえも正しく芸術院会員
満洲といふ国ありし蚊遣香
いくらかは彼岸を照らす花火なり

コメント / トラックバック2件

  1. AKIKO より:

    「結社って何?」と思っていた頃、月刊俳句誌の結社の広告欄をぱらぱら見ていて、大牧広氏主宰の「港」には、「生きている証し。詠みたい」とありました。その言葉が強く印象に残っています。「生きている証し」を詠む。それが句だよな、と思います。抜粋の句を拝見して、こういうことなのか、と納得しました。いい句ですね。

  2. すぐ作れそうに何気ないですね。
    ところが、この手の届きそうな手法がなかなか出来ませんね。

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